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いい夫婦の日に何の動きも見せないブログで申し訳ありません。
イベント後に別件でもう一山ありまして、それが無事に終わったと思いきや仕事でバッタバタしていたため、よそ様の夫婦ににこにこしていただけのよらです。
書こうとしたことはしたんですが、相変わらずのシュガーレスさがマッハだったので凹みました(言い訳)

集中して原稿を書いていた一ヶ月余、敢えて読書をしない生活をしていたのですが(読むと文体がひっぱられる程度の主体性のなさ)、解禁となったのでヒャッハー!と読んでいます。
書店でのカート買いほどのストレス解消はないですね!ヒャッハー!
まあそれ以上の散財もないわけですが・・・oh・・・。
その中でも今回の目玉はこちら!ということで、待ちに待った文庫化を果たした『天佑、我にあり』(海道龍一朗:著/講談社文庫(上・下))。
王道中の王道、第四次川中島合戦の武田・上杉両軍のお話でございます。
やや語りつくされた感のある・・・とかしたり顔で語るのはまだ早ィっ!と海道先生に喝を入れられたような快作っぷりで、こんな面白い本をこんな価格で読めていいのかっ・・・!と感動した次第を以下に。
これもっとほんとたくさんの人に読まれるべきだって!と頭の悪い感想を唾を飛ばしまくってでも伝えたい作品でした。

ちなみに今「かかく」って入れたら「家格」って出て、日頃の行いを振り返えらざるをえませんでした。

歴史オタでなくとも、大体の日本人が戦国時代っていやぁ出てくるであろう、御存知第四次川中島が舞台。
無双でも無印からの最新作にいたるまで、本能寺に並ぶ目玉中の目玉、まさにクライマックスシーンでございます。
武田信玄・上杉謙信という花形武将の一騎打ちは、古今さまざまな作品で題材に取られています。
・・・のため、ちょっと「今更感」がすごいというのも本音。
一般常識の範疇なだけ、却って食指が動かない題材だったりするのも確かです。
そしてまた、竜虎一騎打ちや「啄木鳥戦法」以外は、案外適当な知識しかなかったりするけども、それでもどうにかなってしまうという川中島もの。

といわけで、マイ川中島イメージ→五回ある・二回目と四回目に衝突あり(啄木鳥は四回目)・典厩さまああああ・カピパラ御屋形様、 ・・・という酷い状態で手に取った本作。
『真剣』『北條龍虎伝』(ともに新潮文庫)で熱い漢(おとこ)どもを存分に書ききってきた海道先生のこと、大丈夫面白い!と信じてばーん!と上下巻セットで購入しました。

で。
もうね、すっげえ面白いわけですよ。
とにかく熱い。武田も上杉も超熱い!!漢(おとこ)達がぎりぎりの攻防を繰り広げる様がものすごく熱くて、早く先を読みたくて怒涛の一気読みでございました。
この作品の特筆すべきポイントとしては、信玄公・謙信公も含め、武田・上杉の人物を、どちらが主役、ということではなく、中立的・観測的な視点から描いているというところです。
語り部はなんと南光坊天海(!)でして、さらに物語で解説役の位置にいる北条主従(氏康綱成コンビの再来はちょっとしたファンサービスかも)までも配置されている。
川中島の定番である「風林火山」は武田側、「天と地と」が上杉側であることを考えると、これは相当画期的な試みであります。
物語は時に武田、時に上杉の様子を同時中継的に視点を移しながら進んでいきます。
信玄公と謙信公の、お互いの人生と誇りを賭けて、一手、また一手と策を打ち、動き、読み、時に無視をして隙を伺うという人知を超えた読み合いの数々。そんな名将の下につく、これまた多士済々な名武将たちが、それぞれの立場と思惑を抱えて対峙します。
武田信繁、山本菅助、飯富昌景、宇佐美定満、柿崎景家、甘糟景持などなど、とにかく沢山の武将が登場しますが、その人物の誰もが、とても丁寧に人間模様や心理をきっちりと描かれているのがまたいい!です。
龍虎の凄さをアピールするあまりの、「川中島もの」が陥りやすい”信玄公(含菅助)と謙信公の超絶才能のスタンドプレー”にならない、多くの士の意地と因縁とが交わる壮大な群像劇として、川中島を巡る攻防戦が繰り広げられます。
熱い。熱すぎる。
またもうどの武将もかっこいいわかわいいわでたまらんのですよ!(萌えると途端にひらがなが多くなる人種です)
海道先生は本当に漢の書き方をわかってるぜ・・・と顔を覆いたくなるほどのかっこよさと可愛さ。おっさんどもかっこいいな!んでもってかわいいな!とじたばたすること請け合いです。
個人的な話をすると、とにかく甘糟さんが可愛すぎてもんどりうって悶えました。落ち着け。

そしてそんな萌えなぞどこぞに捨て置け!とも言わんばかりの、啄木鳥作戦発動からの怒涛に継ぐ怒涛の展開、ラストシーンまで一気に駆け抜けるスペクタクル感!あーもー歴史小説好きでよかった!!と快哉を叫びたくなるような感動を味わえます。
何がいいって、新説とか意外性とかはなくとも、これだけ感動できるという「王道」の気持ちよさ!これに尽きます。
新説や新解釈、奇を衒うようなアイデアももちろん面白いのですが、やはり「王道」は「王道」と呼ばれるだけの素晴らしさがあるのだなぁ、と感激いたしました。御託も小細工もない、直球の面白さ。最高。
これマジで映画になんねーかなー!!と妄想したまでは良かったんですが、全編これ合戦シーンなので、まあ予算が無理だよね・・・という現実的なしょんぼり感まで付随してきてしまいました。海道先生の王道エンタメ歴史小説はもっと世に知られてもっと評価されていいと思うの。
映画は無理でも、年末時代劇はどうかな、な・・・!(誰に対するアピールなのか)

海道先生の他作品では、相模生まれの相模育ちとしては、何はともあれ前述の『後北條龍虎伝』をお勧めさせていただきたいです。
数少ない(多分)北条もので、しかも氏康・綱成の最強コンビの青春もの。
かいつまんでいうと、あ、甘酸っぺぇ!と読んでるこっちが赤面したくなるくらいのうじやっさん青春時代~そして河越夜戦へ~っていう内容なんですが(酷いまとめ)、綱成があんまり素敵な漢(おとこ)で惚れざるをえない。
そして何と言ってもラストの河越夜戦。
絶体絶命の親友を助けるべく数々の難敵に挑む氏康、それを信じて絶望的な籠城に耐える綱成、その結末は!という、結果なんぞわかっているのに手に汗握る緊張感と、それが一気に開放されるカタルシス。まさに努力・友情・勝利の、どこぞの少年誌のスローガンが三拍子が揃った、王道中の王道の面白さでございます。
あと小太郎が美形なのは海道先生の拘りなんだろな、というのがよく分かります(笑)
デビュー作にして傑作の呼び声高い『真剣』は来月にも2度目の文庫化がされるようですし、加藤段蔵が主役の『悪忍』は未完(なのかな?)ですが忍者エンタメとして読み応え十分です。

まさに大胆かつ緻密、策を弄さず王道をゆく面白さ。
圧倒的な文章力と構成力があってこそ成せる小説の面白さがぎゅっと詰まっております。ぜひとも!
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